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出版物紹介〈映画研究/翻訳〉

井原 慶一郎

本を出版する場合、企画を出版社に持ち込む場合と、編集者からの依頼で執筆・翻訳する場合があります(前者は自費出版とは異なります。自費出版とは、出版の費用を著者が全額負担することであり、内容の審査も比較的緩やかな場合が多いのに対し、企画出版は、基本的には出版社の費用負担で本を出すものであるため、内容や市場性について厳しい審査が課されます)。

編集者からの依頼による場合は、出版社側が企画を立て、ふさわしい著者に執筆や翻訳を依頼するかたちで進みます。幸運なことに、ここで紹介する3冊の訳書はすべて依頼出版によるものでした。

映画研究(翻訳)

  • トッド・マガウアン『クリストファー・ノーランの嘘――思想で読む映画論』(フィルムアート社、2017年)
  • アダム・ネイマン『ポール・トーマス・アンダーソン ザ・マスターワークス』(DU BOOKS、2021年)
  • アダム・ネイマン『デヴィッド・フィンチャー マインドゲーム』(DU BOOKS、2023年)

フィルムアート社の編集者の方は、拙訳『クリスマス・キャロル』(春風社)を読んで翻訳を依頼してくださり(フィルムアート社に移る前に春風社に在籍)、DU BOOKSの編集者の方は、拙訳『クリストファー・ノーランの嘘』を読んで翻訳を依頼してくださいました。多くの優れた翻訳家・研究者がいるなかで、このような機会をいただけたことに深く感謝しています。

これら3冊の訳書は、多くのメディアで紹介されました。詳しくは下記をご覧ください。

『クリストファー・ノーランの嘘』の刊行は2017年5月25日でしたが、同年9月9日にノーラン監督の最新作『ダンケルク』が日本で公開されるということで、本のPRも兼ねてフィルムアート社のウェブマガジン「かみのたね」に映画レビューを寄稿することになりました。『ダンケルク』の日本公開から2日後に掲載されたレビューの全文は以下で読むことができます(バナー・イラストは鹿児島在住のイラストレーター大寺聡さんにお願いしました)。

『クリストファー・ノーランの嘘』は一枚も図版が入っていない、ストイックな構成であるのに対し、アダム・ネイマンによる2冊の本は、内容は硬派な映画評論であるにもかかわらず、図版がふんだんに使われた、いわゆるビジュアル・ブックです。

編集とデザインを手がけたのは、2005年にロンドンで創刊された、デザイン性と批評性を兼ね備えた映画雑誌『Little White Lies』の編集スタッフです。日本語版においても、原著のデザインとレイアウトを可能なかぎり忠実に再現するように編集されています。

原著(Paul Thomas Anderson: Masterworks, Abrams, 2020)と訳書(DU BOOKS, 2021)。

『ポール・トーマス・アンダーソン ザ・マスターワークス』と『デヴィッド・フィンチャー マインドゲーム』の日本語版を手にした著者アダム・ネイマン氏はXの投稿で “Was just sent these translated Japanese editions of my PTA and Fincher books; so incredibly cool” (2023年4月20日)と述べています。

この記事を書いた人

井原 慶一郎

1998年10月、鹿児島大学 法文学部に着任。専門は英文学、表象文化論。主な関心領域は、ディケンズ研究、アン・フリードバーグと視覚文化史を中心としたメディア研究、映画研究。担当講義科目は「芸術文化デザイン論」「アートマネジメント論」(学部)、「比較文学特論」「表象文化特論」(大学院)など。著書に映画学叢書『映画とイデオロギー』(共著、ミネルヴァ書房、2015年)、訳書にアン・フリードバーグ『ヴァーチャル・ウィンドウ/アルベルティからマイクロソフトまで』(共訳、産業図書、2012年)、チャールズ・ディケンズ『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』(編訳、幻戯書房、2019年)、アダム・ネイマン『デヴィッド・フィンチャー マインドゲーム』(DU BOOKS、2023年)などがある。

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